2022-05-15

一方つけ 前から見ても後ろから見ても

今週は…あっという間でした。週の始めに急ぎのお仕事が舞い込み、それを何とかする為に寝るのと食べるのとおトイレに行く以外は、ずっと縫ってる…という日を過ごし、気が付けば週末です。blogやSNSに色々UPしようと思っていたのですが、縫って食べて寝る。洗濯、掃除、ご飯作る。それ以外の事は何も入りませんでした(涙)

さて、タイトルの「一方つけ」とは何かというと… パッと見は普通の小紋なのですが、前から見ても後ろから見ても一方方向に柄がついているのです。こちらは前身頃のお写真。

一方つけの小紋 前身頃

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、後ろ見頃がこちら。

一方つけの小紋 後ろ見頃

 

 

 

 

 

 

 

 

どちらから見ても、梅の柄が上向きになっていますよね!ほかにも、鮫小紋も分かりやすいです。鮫小紋は半円が折り重なるように左右に続く柄で、仮に鮫小紋を着ている人を正面から見た時にその半円が左に弧を描いている場合、後ろ姿はその逆の右へ弧を描くことになります。

青海波も分かりやすいですね。青海波は波の模様で、やはり半円がアーチ状に重なっています。正面から見てトンネルの様に上向きに弧を描いていれば、後ろはその逆、下向きの弧になります。でも「一方つけ」は肩山や袖山で柄の向きが反転するので、前から見ても後ろから見ても、柄は同じ向きになるのです!袖山のお写真がこちらです。

一方つけの小紋 袖山

 

 

 

 

 

 

 

 

「付け下げ小紋」とも呼ばれていて、どこを肩山にするか袖山にするか、最初から決まっています。衿も背中の真ん中で柄が反転します。そうしないと左右で柄の向きが逆になってしまうので…。下のお写真は掛け衿のド真ん中です。梅の柄がお向かい合わせになっています。

一方つけの小紋 衿山

 

 

 

 

 

 

 

 

普通の小紋と思われたまま気づかれないことも多いですが、一手間かけられたちょっと格高な小紋です。縫い手のわたしたちが気が付かないで仕立ててしまうと、悲劇的な裁ち損ないになりますが、そうならないように「普通の小紋」と思わずに「一方つけ」かもしれない…という認識を持っていなくてはなりません。

この梅の柄のお着物は黄変がいくつかあったのですが、おおつき工芸さんに解き洗い張りと染み抜きをお願いして、とても綺麗にして頂きました。綺麗になって帰ってきた反物のお話は、また次回に…( ◠‿◠ )

 

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