「つながるお仕立て」その2 黒留袖を長羽織りにお仕立て変え
今日は夕方から雨が降っていて、空気が冷たいです。ちょっと前まで35度位あったと思うのですが、明日の名古屋は最高19度予報。寒くなるの急過ぎです。明日は名古屋栄のオアシス21で開催されるイベントで和裁の実演をするのですが、屋外スペースでの座り仕事を4時間半…辛そう(涙)お近くにお越しの方は、是非足をお運び下さい。そしてわたしを励まして下さい。あ、下の画像の着物縫ってる人、わたしです。
さて、「つながるお仕立て」の第二弾は、黒留袖→長羽織のお仕立て変えです。去年、同じ内容のお仕立て変えを承ったお客様の妹様が、「わたしも同じように作りたい!」とご依頼下さいました。ご姉妹は東京の方!ありがたや〜(^人^)
羽織に仕立て変える為の黒留袖を、京都の弘法市でハントされ、アンティークの素敵な黒留袖を後藤和裁に送って下さいました。
裏地は紅絹(もみ)で、なんとも味のある艶っぽい黒留袖…!!紅絹はお目に掛かれても大概は精が抜けてカスカスの状態なので、再利用率は極めて低いのですが、この紅絹は大丈夫でした!年季を経た紅絹の色は、ただの赤ではなくて、味わい深い紅なのです。「赤・朱・紅」それぞれ意味する色合いが異なります。この話、長くなるので割愛。とりあえず「日本人て繊細ね〜」てことで。
裏地の紅絹は問題無かったのですが、肝心の表地に大問題がありました…!
その一。後身頃にデカめの穴。
これはもう、普通は諦めるかな、ていう穴です。
そのニ。同じく後身頃に、デカめな染み。
これは取れるかもしれないけど、そもそも生地はそれなりに弱っているので、どこまで染み抜きに耐えられるのか…
こんな時に頼りになるのが「おおつき工芸」さんです!このblogにも何度もご登場頂いていますが、われわれ後藤和裁が安心してお仕立てのお仕事が出来るのは「おおつき工芸」さんという頼みの綱があるから!本当に、本当に、本っっっっっっっ当〜〜〜〜〜〜〜に、ありがたい存在です!!!
まず穴は、大槻さんからご紹介して頂いた「かけつぎ」専門店にお願いしました。羽織にするのに必要の無い部分から共布を切り出して…
小さく切った布でかけつぎをした裏側の景色がこれで…
表側がこれ。
すごくないですか?このかけつぎをして下さった愛知県一宮市にある「紬かけつぎ店」さんはお若い方達による衣類修復の専門店で、世界的に有名な毛織物(尾州織)の産地である一宮市にそのお店があるのは、やっぱり何か理由があるのでしょうかね?もうとにかく、すごい技です!けっこうデカめの穴が、ちゃんと塞がりました!!わたし達が手にした時にはこの状態でした。
そして染み。beforeがこれで…
おおつき工芸さんの技で、こうなりました!
いや〜、もう本当にすごいです。その道のプロって、すごい。こんな人たちと一緒に一つのものを作れるなんて、すごーく幸せです( ◠‿◠ ) そして、このような貴重な機会を下さったお客様に心から感謝申し上げます!!
縫える状態にしてもらったら、わたし達和裁士の出番です。長くなりそうなので、今日はここまで。「長羽織」というゴールに向けて、京都まで狩りに出かけたお客様と、生地を蘇らせたかけつぎと染み抜きのプロフェッサー。そして次はわれわれ和裁士!チームワークが結実した結果は、また今度〜( ◠‿◠ )!!