男物のお着物を仮縫いしています
いつもお世話になっている「おおつき工芸」様のご主人、大槻さんのお着物をお仕立てさせて頂いています。男物のお着物は女性のようにおはしょりをしないので、身丈を決めるのがとても難しいです。羽織ったらジャスト丈、というのがベストですが、肩の厚み、お腹やお尻の出具合などもあり、身長・体重・腹回り・ヒップの数字だけで割り出すのは正直怖いです。今回大槻さんには「仮縫い仕立て」をご提案しました。下の写真、よく見るとザックリとした仕立てなのがお分かりになるでしょうか…
腰紐する前の姿がこちら。前身頃のお腹の辺りに切り替えのラインがあります。これが「揚げ」と呼ばれる、縫代が内蔵されている箇所です。
大槻さんが決めポーズしてるこちらの写真では、もう「揚げ」は見えませんね。腰紐で隠れているからです。
実は「揚げ」は帯から出てはいけません。でも、帯から出ない位置を計算で算出するのは物凄く難しいです。わたしが使っている和裁の教本には、男物長着の揚げの位置について公式が載っています。それで計算すると、だいたい帯から出ます。帯の上に出ます。じゃ、どうすればいいのか… となると、お客様にあらかじめ作ってあるお着物を羽織って頂いて、それよりプラスかマイナスかで、身丈も揚げの位置も決めるのが手っ取り早いです。
去年の夏に大槻さんの浴衣をお仕立てしたので、今回の袷のお着物は浴衣寸法をベースにしています。思いっ切りこだわってみたくて「仮縫い仕立て」をしてみたところ、頭の中で算出した寸法ではマズイ所もあり、やってみて良かったです。これから微調整してお仕立ていたします。
男性のお着物姿、特に着流しはとっても格好いいですよね。どの世代でも着物男子人口がもっと増えたらな〜と思います。着物の世界の男畑(と、勝手に命名してみました)をもっと耕さねばですψ(`∇´)ψ