2024-09-17

大島紬 縦方向の柄はむずいです

残暑が厳し過ぎて…いつまでたっても夏本番な格好で過ごしています。お仕事上、季節感は大事だと分かってはいるのですが、もう無理。今日も帰ったら冷えっっ冷えのおビールです!

さて、お仕立てものはまだまだ年中通して袷が多く、こちらの大島は7月初旬にお客様が反物をお持ち込みされました。

大島紬

 

 

 

 

 

 

 

 

大島紬

 

 

 

 

 

 

 

 

赤い麻の葉模様が縦方向に1本入っている… 最初反物を拝見した時から、これをどう配置するのかアレコレ考えていました。身頃と袖は反物の巾をフル活用するのですが、衿と衽は反物をほぼ半巾に切って、片方が衿、もう片方が衽…という使い方をします。従ってこの反物の場合、見た瞬間に「無地部分が衿で、麻の葉部分が衽!」と決まります。麻の葉の柄が首周りをグルリと一周して衽が無地だったらヘンだからです。実際反物を身体に当てて、ヘン具合をお客様にも見て頂きました。でもって、そこからが問題なんですよね… 縦方向の柄は、それをどちら側に配置するかで着た時の印象が結構変わってしまいます。そこで今回は、パターンAとBの二通りをご提案して、それぞれトルソーに着せ付けてみました。パターンAがこちら。

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

赤い麻の葉模様は左身頃のやや真ん中寄り。という事は背中はこう↓

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

反物を平面的に並べて見た時は、このAかな?と思っていました… が! Bいきますね。

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

麻の葉模様は右身頃のやや真ん中寄り。という事は背中はこう↓

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

上前(左)前身頃だけを見るとAが良いのですが、Aには大きな問題があったのです… それは右脇の柄です。上前(左)の衽がペラっとめくれると下から赤い麻の葉がチラ見えするのです↓

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

上前の衽はそこそこペラっとめくれます。その度に下の赤い部分がチラ見えするのは…煩いですよね… それがBだとスッキリ。ペラってなっても下は無地です↓

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

じゃあ左脇はどうなるのか?というと… AとBは完全に逆になるので、今度はAの方がスッキリ↓

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

そしてBは麻の葉が2本並びます↓

大島紬のお着物

 

 

 

 

 

 

 

 

「これは煩くないのか?」と言われてしまうと… 確かにスッキリはしていないです。でも、妙にチラ見えするAの右脇がどうしても「なんかどうもな〜〜」と思ったので、これらの写真をお客様に確認して頂いた上で、プランBに落ち着きました。

平面的に生地を並べて見ているだけでは出来なかった判断でした。正直「ちょっと手間(´-`)」と思いましたが、でもやっておいて本っっっ当に良かったです。だって思ってたのと違ったから!いや〜怖い。縦方向の柄はむずいです!!

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