2025-11-19

アンティークの訪問着を長羽織にお仕立て変え まうごつ素敵な長羽織

アンティークの訪問着を長羽織に仕立て変えました。

アンティークの訪問着を長羽織に仕立て変えました

 

 

 

 

 

 

 

 

もともと訪問着の胴裏だった紅絹(もみ)を、羽裏としてそのまま使用しました。オシャレ。

紅絹(もみ)を羽裏に

 

 

 

 

 

 

 

 

訪問着をお預かりした際に存在した、いくつかの問題点を動画でご説明した上で、お仕立てがスタートしました。お客様は熊本県在住の方でしたので、全てメールのやり取りでのお仕事となりました。

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最初の動画での問題点は、衿の柄に直結します。「出来なくは無いけど、そんなにバッチリ柄は合いませんよ」という確認になります。2本目の動画は「ヤケ」についてですが、これはわれわれ和裁士にはどうにもできない事なので、こんな時の救世主「おおつき工芸」様に見て頂いて、すぐにお見積りも出してもらいました。大槻さんに「出来ない」と言われたら試合終了でしたが、「直せる」とのこと。

実は最初のご依頼は黒留袖からのお仕立て変えでしたが、先に送って頂いた黒留袖にもいくつかの問題点がありました。お仕立て代や出来上がりイメージを鑑みると、どちらを長羽織にするべきか…なんなら両方無しなのか…  「もしわたしだったらアンティークの訪問着を選ぶ」とは思いましたが、選ぶのはお客様だからあまりグイグイわたしの好みを押し付ける事もできず… なので、正直に「自分だったら訪問着からの仕立て直しにお金を投入するけれど、難点もいくつかあり、そこは我慢するしかないです」というメールをお送りしました。結局のところ、本音しか伝わらないと思うので。

結果的に、このとっても素敵な長羽織が誕生しました!熊本弁だと「まうごつ素敵な羽織」と言うそうです。「まうごつ」は舞うように素晴らしい、という意味。わたしも名古屋弁で「どえりゃー素敵」とお返しいたしました( ◠‿◠ )

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例の如く、共布で枕も作りました。

長羽織 共布枕

 

 

 

 

 

 

 

 

懸念されたヤケは、おおつき工芸様が綺麗に直して下さいました。神!!

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お客様は、消費者教育NPO団体の代表を務めていらっしゃり、団体が設立から20周年を突破した記念式典にこの羽織をお召しになって下さいました。その日の為に記念誌を発行され、わたしも読ませて頂きました。記念誌はかなりの行数が羽織について割かれており、わたしがお送りしたメールを読んで「きっと気が合う」と思った… と綴られていました。嬉しい(T-T)    消費者教育NPO団体の代表様に「信用できる」とお墨付きを頂けて、わたしは今のままで大丈夫なのかも…と、ちょっと安心しました。

今回だけでなく、いつも、なんですが、受注したお仕事はわたし1人で完結している訳ではなく、何人もの技術者がいてようやく成立しています。和裁だけでも成り立たず、他業種のプロの手や知恵を拝借したりもします。お客様を含めて関わった皆んなが「やって良かった」そう思えるお仕事を、いつも目指しています!

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