2020-04-23

背紋の裏側

着物に家紋を入れる場合

一つ紋(背紋)

三つ紋(背紋+袖紋) 

五つ紋(背紋+袖紋+抱き紋)

という具合にグレードアップしていきます。

 

 

 

 

 

 

 

 

写真の背紋は「片喰(かたばみ)」という

家紋です。

片喰は植物です。その葉っぱは

クローバーみたいでクローバーではない、

よく道端や公園で見る、あの植物です。

家紋のモチーフは植物や動物、日常的に

使われる道具類など多岐にわたります。

その種類は数多く、紋名を調べるのに

紋帖という書物を使います。

後藤和裁にある紋帖はかなり年季が入っていて

擦り切れていますが、現役です!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とても古風で、索引は

「あいうえお順」ではなく「いろは順」です。

なので、毎回

いろはにほへとちりぬるをわかわたれそ…

と、いろは歌を口ずさみながら

紋を探しています。

この紋帖、一度ページをめくると

時間が過ぎるのを忘れてしまう位に

ハマります。

わたしが好きなのは「兎」の家紋。

 

 

 

 

 

 

 

 

兎を表現しようとして

真正面から捉えるそのセンス!

かと思えば、思いっきり後ろ姿のみで三連兎。

お尻だけで三連!!

きっと深い意味がある、はず。

知りたい…

 

話が逸れました。

背紋の話です。

背紋は、「貼り付け紋」という

ペタッと貼り付けるタイプもありますが、

それはとても簡略化された背紋で、

左右の後ろ見頃に染め抜かれたり

刺繍された背紋は、縫い合わせて

一つの背紋となります。

裏側こうなっています。

(衿を付ける前)

 

 

 

 

 

 

 

 

わたしの実家の後藤さんちの家紋は

「鶴丸(つるまる)」です。

 

 

 

 

 

 

 

元々は「下がり藤」だったのが、祖父の代に

「鶴丸」に変わりました。

それにはエピソードがあります。

祖父の父、わたしの曽祖父はかなりの

甲斐性無しで、妻の「つる」さんは

とても苦労して七人の子どもを育てたそうです。

子どもたちが成人後に家紋を

下がり藤から鶴丸に変える位ですから、

よっぽどだったと思います。

鶴丸の紋は、曽祖父のダメっぷりを

しっかりと子孫に伝えています。

と同時に、七人の子どもたちの母への

感謝の気持ちも、世代を超えてわたし達に

受け継がれています。

家紋の鶴を見るたびに、このちょっとした

ヒストリーを思い出します。

行商で呉服を売って、家計を支えたつるさん。

つるさんが苦労しながらも人生を切り開いて

くれたからこそ、今、わたしがここにいます。

後藤和裁のホームページをリニューアルする際、

デザイン一切をお任せした

maon dsign さんに、ロゴも作って頂きました。

 

 

 

 

 

 

 

 

後藤和裁の鶴はつるさんの鶴です。

針やハサミ、糸などもデザインされている

令和の新しい鶴です。

 

 

 

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